もっと素敵にフラワーアレンジメント 毎月のフラワーデザイン集
春を代表するお花の一つですが、水仙はちょっと注意が必要な花です。茎を切るとネバネバとした液が出てきますが、これが他の花へ悪影響をもたらします。イギリスのフローリストマガジンの記事で実際に他の花へ与える影響の度合いについての実験が説明にありました。オランダのチューリップと水仙を一緒に入れた実験です。
<実験内容>
花瓶1 チューリップだけ茎を斜めに切り栄養剤入りの水に入れる
花瓶2 水仙とチューリップを同時に茎を切り、栄養剤入りの水に入れる
花瓶3 水仙の茎を切り3時間ほど放置して茎の表面が乾燥するのを待ち、その後チューリップの茎を切り栄養剤入りの花瓶に両方の花を入れる
花瓶4 水仙のみ茎を切り栄養剤入りの水に入れ24時間待つ。その後花瓶を洗浄し新しい栄養剤入りの水を用意しチューリップを加える。この時水仙の茎は切り戻さない。
<結果>
花瓶1 美しく9日間も咲き続けました。
花瓶2 チューリップは初日にダメージが現れ4日目には花、葉ともに萎れて頭を下げてしまいました。水仙は問題なし。
花瓶3 チューリップは花瓶2ほどのダメージが見られなかったものの、花は完全に開かず葉が茶色に変色。
花瓶4 約6日間チューリップの表面上でのダメージは見受けられず。6日以降は萎れてしまい、本来開花できるであろう期間よりも短命に終わってしまいました。
オリジナル画像を参照するとよくわかりますが、水仙は明らかに他の花へ悪影響をもたらしています。水揚げ時に注意して扱うとお客様からのクレームを防ぐことができます。
毎年2月に東京ドームで行われる世界ラン展では、各国在日大使夫人の蘭を使ったテーブルアレンジメントのコーナーがあります。イスラエルの大使 Her
Excellency Ms. Ruth Kahanoffのアレンジメントが目に留まりました。イスラエルでも野生の蘭が30種ほどありその植生が国の乾燥した気候に合っているとのご紹介がありました。テーブルにはシンピジュームと国家の正式紋章である燭台メノラー、そしてそのテーブルの前の壺には柳の枝とファレノプシスがアレンジされていました。蘭でもない柳がどうしてここにあるかご存知の日本人はそれほどいらっしゃらないのではないでしょうか。柳、柑橘の果物、棕櫚(シュロ)の葉、ミルトス(マートル)などはユダヤの行事の飾りによく使われる植物です。イースターはキリストの復活を祝う祭りですが、ユダヤ教の方たちにとっても春を祝う「過越しの祭」という行事が丁度イースターと重なる時期にあります。柳も棕櫚(シュロ)と同様にヨーロッパの多くの人たちによりイースターのアレンジメントに用いられるようになりました。ロシアやイギリスで柳を使ったアレンジメントを目にするのはユダヤ教の方たちが少なくはないという事です。イースターの象徴的な花はマドンナリリーと言われる鉄砲百合、カラーなども現代ではよく使われる花材です。柳は春力強く芽吹く植物で白い花ともとても相性がよいと思います。
それぞれのブースを拝見しているとアレンジメントからどこの国か見当がつくことがあります。イスラエルだけでなく、アイルランドも岩、小さなランやコケなどで国の持つ固有な環境の特徴がすぐに伝わってきました。メッセージを伝えられるアレンジメントは完成度も高く目標としたい所です。
4月からの生徒さん募集致します。フローリストも初心者の方でも歓迎です。お問い合わせ下さい。info@act-flower.com