もっと素敵にフラワーアレンジメント 毎月のフラワーデザイン集
2020年の東京オリンピックに向けて、今年で3回目のメダリストブーケのコンテストが開催されました。出展の経緯や他の方の作品の写真はブログに掲載しております。ですのでこちらでは作ったブーケについて少しお話ししたいと思います。
一輪菊 'アナスタシア' キク科キク属 中国原産
リンドウ 'マジェル' リンドウ科ゲンティアナ属 日本・朝鮮半島原産
バラ 'サムライ08' バラ科バラ属 チベット・中国南部・ミヤンマー原産
リモニウム 'キノラパン' イソマツ科イソマツ属 地中海沿岸原産
ルスカス ユリ科ルスクス属 ポルトガルマディラ諸島
アスパラガス 'フクミドリ ユリ科(キジカクシ科)アスパラガス科(クサスギカズラ科) 地中海東岸原産
レザーリーフ フェーン オシダ科ルモラ属 熱帯・亜熱帯地域分布
スティールグラス, ユリ科クサントロエア属 オーストラリア原産
竹ひご イネ科マダケ属 アジア各地分布
最初にダウンロードした応募要項によりますと、なるべく国産の花材とありましたのでそのルールに従いました。
スティールグラスだけはオーストラリア産です。
ラテン表記はフラワーリストに掲載
オリンピックの表彰式ではメダルと花束が選手たちに授与されます。栄冠を讃えるブーケ。選手は観客席に向かって投げ入れる時もあります。 自分のデザインを練る際には何に気を付けなければならないか考えてみました。量産、コスト、気候や輸送に耐えられる事、ブーケトスをした場合の安全性など実用面ではいくらでも思いつきました。でももう一つ大切な事を師匠であるGeoffrey先生に指摘されました。人種です。様々な人種の方が参加するイベントです。それぞれの文化(宗教)を知りタブーを除外しなければなりませんでした。私はこのメンタルな部分を考えられず大きくミス。この季節に入手できない桜を除いては、日本を代表する花は菊と決め込んでしまっていたのです。おそらくこれが審査員の方々からは大きな減点対象となった箇所であったでしょう。 スコアーシートはいただけないとの事。 本当は見せていただけるとどこが弱点だったかが分かるのですが、トライ&エラーです。今回のコンテストではまた一つ学びました。参加者を育てる意味でぜひスコアシートの開示をしていただきたいと思います。
2020年のオリンピックにはいくつのブーケが必要になるのでしょう。またどこで誰が作るのか、輸送はどのような状態なのかは私にはわかりません。真夏の花の管理はとても大変です。リオではブーケの代わりにオリンピックカラーの置物のようなものを手渡していますね。私の目にはなかなかスマートに映りました。とは言えやっぱり世界に誇れる日本の素晴らしい花を添えてあげたいですね!
追伸:東京オリンピックのブーケの数供給の可能性を試算している大田花きさんのデーターです。
ブーケの数 オリンピックとパラリンピック両方合わせて5,280個、国産の切り花だけの流通量は一日3,000万本。種類も多数なため供給は十分対応できるとの事です。
夏の期間の花のお手入れ
リンドウを開花した状態で使いたかったのですが、数日前の花はダメージが見られ、1日前の花は未開花でした。花嫁のブーケと同じでとても神経を使わなければなりません。花瓶は毎日清潔にし、水はミニマム。前日水につかった部分を切り、常に新しい切り口が水につかるようにしました。マムなどはたっぷり1日茎を長く保ったままにしておくと開花が進みとても美しい花を期待できます。
よい生産者の方々の花は長持ちします。次のオーダーのためにメモをしておきます。
私の母校です。イギリスでフローリストを育成する専門のフラワースクールです。
今年のロンドンでのヨーロッパクラスはとてもよい先生を2人もお招きしています。経験豊かな先生たちからのアドバイスはいつも宝です。コラムを読んでくさっている方、ぜひお出かけ下さい。 10月28-31日
家族でもう一人奮闘した人がいます。普段はとても花から縁遠い仕事をしているのに、突然ブーケを作ると言い出し、ついに私の花をシェアして作品を出展しました。日本の文化をご紹介したいと短冊を用意し古来からの正式な形式に従い札に筆を入れております。(これは本人の母君作)家族でビクトリーブーケのコンテストに参加し楽しい夏の思い出となりました。 前日に昼に集中練習後作成。要点をしっかりと守り忠実にスパイラルをしていました。バランスもよくラッピングをしてもきちんとテーブルの上に立っていました。縦長のブーケなため遠目からも目立ち凛とした素敵なブーケだと思います。
花材
一輪菊 'アナスタシア'
リンドウ 'マジェル'
ナデシコ 'ソネットブラボー'
リモニウム 'キノラパン'
ルスカス
ヤツデ